ピアノ曲を弾くためには、さまざまな知識と技術的課題の解決が必要です。
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』(c moll)を例にとってみましょう。
この作品を弾くためには、18世紀末のピアノや演奏様式に関する知識が必要なことは言うまでもありませんが、ベートーヴェンのオーケストラ作品や弦楽四重奏曲に関する知識が加わると解釈の幅が大きく広がります。
さらに同時代のモーツァルトのピアノソナタ第14番(同じくc moll)や、後世のショパンの革命、チャイコフスキーの悲愴、ペンデレツキの広島などを知ると、作曲家が音符で表す悲痛な感覚や激情をどう演奏表現するかの思索が深まります。
技術的課題としては、音階を速く柔軟に弾く技術、分散和音を均一に弾く技術、左手のオクターブのトレモロ・オクターブの移動に関する技術、装飾音を入れる技術、レガートペダル・ハーフペダル・アクセントペダルなどのペダリング技術などが求められますが、これら技術的課題を解決するために別のテキストを用いたり、特別な練習法を試みることがあります。
このコースでは、このように演奏する作品に関連する知識や技術、練習法を紹介し、ピアノ演奏をより広く深く考察し研究します。
このコースは、基本的にピアノコースを履修する方を対象とします。