ソルフェージュとは、一言で言えば「音楽の基礎能力の訓練」のことです。

ソルフェージュは、いずれの音楽分野でもきわめて重要になるため、幼少期から(あるいはなるべく早い時期から)学ぶ必要があります。

楽器

セネガルの民族楽器

ソルフェージュの具体的な方法は、

  1. 楽譜を読んで歌うこと
  2. 音楽を聴いて書き取ること

の2つを軸とします。

これは英語学習に置き換えると、「リーディングとスピーキング」、「リスニングとライティング」にあたります。

そのため、ソルフェージュを習得すると、音楽を聴いて分かる・読んで分かる・発信できるといった能力が格段に上がります。

なお、本コースを副科として受講なさることも出来ます。


もう少し詳しく知りたい!

ソルフェージュを学ぶ意味

世界各地のあらゆる音楽は、クラシック音楽に限らず、それぞれ固有の文法や表現形式を持っています。

たとえば私たちは、アフリカ原住民のお葬式の音楽を、軽快で何か楽しい音楽だと聞き間違えることがあります。

あるいはチベット仏教の声明(しょうみょう)と呼ばれる声楽を、私たちは不気味でおぞましいものだと聞き間違えることもあります。

それらに比べ、クラシック音楽は、私たちにとってある程度親しみがあるので、大意を聞き間違えることは少ないのですが、それでも一から習わないと分からない部分がほとんどです。

つまり、クラシック音楽固有の言葉・文法を教えるものがソルフェージュであり、そこで得たことを読譜や演奏などに活かすことがソルフェージュの最終目的になります。

フォルマシオン・ミュジカルの併用

本コースでは、ソルフェージュと並行して、昨今日本でも浸透してきたフォルマシオン・ミュジカル(注1)も取り入れています。

音楽の総合訓練ともいえるフォルマシオン・ミュジカルでは、楽譜を音楽的に読み、音の挙動を理解し、音楽そのものを楽しめるようになるため、とても細分化されたエクササイズを行います。

それらは、

  • 発音の系(注2)
  • 聴き取りの系(注3)
  • 理論の系(注4)
  • 歴史の系(注5)

に分類できます。

フォルマシオン・ミュジカルは、聴覚・視覚・身体運動・知識・思考を統合しようとする性質を持っています。そして統合した知によって音楽を俯瞰し、広範囲に見渡そうとします。

これに対し従来のソルフェージュを組み合わせることで、音楽を俯瞰しながら、音を発信・受信する力を伸ばすことができると考えられています。

なお、フォルマシオン・ミュジカルは基本的にはフランスのテキストを用いますが、場合によっては日本の教材や、生徒さんに合わせて作ったオリジナル課題も併用します。

レッスンでは、どんな楽譜が来ても読むことができ、適切な音楽表現ができるようになることを目標にします。

そして進度によっては音符の裏側にある作曲家の意図や思いを汲むところまで進めます。このレベルになると楽譜を見ただけで頭の中で音が鳴ってくるようになります。


注1)フォルマシオン・ミュジカルとは1978年にスタートしたフランスにおける音楽教育法のことです。日本語では音楽トレーニングといった意味の言葉になります。現在フランスでは広く浸透し、初等教育から高等教育まで用いられています。

注2)発音の系では、音名の朗読、リズムの練習、音の連なりが持つイントネーションなど、そして音程をつけた一般的に歌唱と呼ばれるものなど、発声したり手拍子することでエクササイズを行います。

注3)聴き取りの系では、音を聴いた時の気持ちを身体で表したり、絵の具を使って表したりします。音当てクイズや、音の間違い探しのようなものもあり、高度になると現代の複雑な音楽も扱っていきます。

注4)理論の系では、強弱記号の意味や、リズムを等分する数などを考えます。高度になると形式を見たり、聴き取った音楽(和音)の数字付き低音を答えるといったものもあります。プレ音楽理論ともいえます。

注5)歴史の系では、作曲家のことを知ったり、いろいろな楽派や潮流を調べたりします。そして時代背景や社会、国々の関係を考えます。プレ音楽史ともいえます。