楽譜選びも実力のうち?

「あなたはなぜ、その楽譜の版を選んだの?」
それは私が音楽を志す仲間に出会ったとき、興味を持ち、話を聞いてみたいと思う話題のひとつです。

楽譜には実に様々なエディション(版)があります。同じ曲なのに、たくさんの出版社が、微妙に異なるバージョンの楽譜を出版しているというわけです。強弱やフレージングのみならず、音まで違っていることも多々あります。

これでは、演奏者は迷ってしまいますよね。どれが正しいのでしょう?

残念ながら、「どれが正しいのか、誰もわからない」のです!
だからこそ、作品がこの世に誕生してから数百年経った今もなお、時折新しいエディションの楽譜が出版されるんですね。

 

私は基本的に、原典版(Urtext)の中からひとつ、軸になる楽譜を選ぶことにしています。これらは自筆譜や初版譜など、2種類以上の資料を元に比較され、作曲家の意志に近いだろうということが研究し尽された楽譜です。ただし、研究の過程で新たな資料が見つかることもありますし、当然ながら研究者によって見解が異なってきます。ですから、原典版にもヘンレ版、ウィーン原典版、ベーレンライター版…とたくさんの種類があるというわけです。

一方、校訂版(あるいは実用版)の存在も気になるところです。こちらは、元の楽譜にはなかったフレージングや強弱が書かれていることもあり、良く言えば演奏者にわかりやすい楽譜に仕上がっています。でも、「本当にバッハって、こんな風に弾いていいの?」なんて思うこともしばしば…。そんな風ですから、私の場合には、校訂版を軸として使うことはめったにありません。
ただ、参考とするには非常に面白いこともあります。ショパンにおける、アルフレッド・コルトー版などが有名な例として挙げられますが、優れたピアニストや作曲家の助言が書き込まれた楽譜には、大いに刺激を受けるものです。
せっかくたくさんの選択肢があるのですから、見比べてみて、自分の解釈を磨く材料にしていけるといいですね。

 

モーツァルトピアノソナタ

Mozart:Sonate KV331
左がヘンレ版、右がベーレンライター版

余談ですが、昔モーツァルトの演奏に行き詰っていたころ、先輩にこんな助言をもらったことがあります。

「ヘンレ版使ってるの?試しにベーレンライターを見てみたら?軽やかに弾けそうな感じがして、私は好きだよ」
早速楽譜屋さんに走り、譜面台に両方の版を載せてみたとき、視覚のイメージってとても大きいんだ!と気付かされた思い出があります。(どちらとも捨てがたく、今でもモーツァルトを弾くときには、両方見比べて鳴らしてみたりします)

音の大きさ、余白、紙の色や手触りの違い…楽譜って奥深い!

(真唯子)

 

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