作曲レッスンの秘密(東京都練馬区・美ゞ(びび)音楽教室の方法)

今日のテーマは、私の作曲レッスンの秘密についてです。
企業秘密を含む、ちょっと難しい話です。

が、作曲が楽しくて仕方ない生徒さんのお話でもあります。

長文になります。
以下の方々には、あまりお役に立たない記事かもしれませんがご容赦を。

  1. 私とのレッスンがほぼ初対面に等しく、あまりお互いを知らないケース。
  2. 人と話すのが極度に苦手な生徒さん。
  3. 小学4年生以下くらいの子どもの生徒さん。(逆に言えば年齢的に小学5,6年生、中・高生、大人のクラシック作曲レッスンは基本可)

さて、私たちの音楽教室では、作曲の個人レッスンを始めたら、作曲が楽しくて仕方ない、とても上達した、という生徒さんに出会います。

クラシックの作曲レッスンでは、やさしい小規模の基礎楽式(形式)からスタートし、順を追って複雑化していきます。
編成面でも様式面でも同様の手順を踏みます。

だから、作曲の上達は「レッスンを受けているから当然」といえば当然ではあります。

しかし、私は作曲レッスンで、あることを特に重視しています。

それは「生徒さんが(音楽により)何を話しているか」より、「どのように(音楽を)話しているか」に注目することです。
WhatよりHow。

つまり、楽譜を見て、「あぁ、誰かへの愛情を描いている(話している)曲だなぁ」と分かっても、それ以上は深掘りしません。
むしろ、その生徒さんが、どのように(音楽を)話しているか、このように(音楽により)話しているのはなぜか、さらに、その背景に何があるのかということの方に関心を寄せます。

私は生徒さんの楽譜を見ながら、聴きながら、こんなことに思いを巡らせます。
たとえば、

  • 音楽での話し方は柔らかいか、固いか。潤いや乾き具合。
  • 音楽の口調はあせっているか、落ち着いているか。騒々しさや静けさの様子は。くどいか、あっけないか。
  • 音楽の語り口は大人びてるか、幼く拙いか。拙くとも熱量はあるのか、大人びているが退廃しているのか。スマートか不恰好かも。
  • 表情は明るいか、暗いか。さらに重い軽いか。饒舌か寡黙か。
  • わかりやすいか、わかりにくいか。理路整然や支離滅裂の程度は。
  • 感覚優位か理屈優位か。複雑性や単純性の観点も。
  • 誇大性と自己卑下、ナルシシズム、それらのバランスの様子は。
  • 文明的か原始的か。端正か不恰好かの具合も。

挙げれば切りがないですね。

これらは、生徒さんの「作品の中の音の話し方」、つまり「どのように話しているか」についての観点です。

そして、そうなっているのはなぜか?
その背景に生徒さんの何があるのか?
考えます。

すると、作曲のレッスンは自然と「生徒さんとの対話・雑談」に発展します。

皆さんも経験があると思います。
誰かと、どんな相手とでも、何かしら話していると、脳裏にいろんなこと(キーになる言葉や思い)が浮かんできませんか。
わたしもそうです。生徒さんと対話しているといろんなキーワードが頭をよぎります。

ただし、たとえば「攻撃性」というキーワードが私の脳裏に浮かんでも、それについて直接的に、あるいは表立って生徒さんと対話することはありません。
「挫折や葛藤」というキーワードが私の脳裏に浮かんでも、やはり同じです。
ネガティブなキーワードほど慎重になります。

逆に「慈愛とか自己犠牲」、「成功体験や自信」といったポジティブなキーワードがよぎったら、そういうことは話題に出すことが多いかもしれません。

いずれにせよ、生徒さんの根底にあるはずのキーワードは、常に対話の裏にあり、わたしが生徒さんと対話するにあたってのある種の標柱になります。

こういったキーワードは「音や音楽をどのように話しているか」にすべて紐づけられます。

お察しのように、作曲レッスンは、つまり生徒さんの深層心理にアプローチします。
だから、けっこう長く話し込みます。(そのため、30分など短いレッスン時間では対話まで行くことは難しいです)

そして、このように対話することで、生徒さんは自作曲で一体何をしているのか、自身の深層心理を考察することで自己発見します。
すると自分を振り返ってみたり、あるいはもっと自分を知ろうとし、自学・自習をするようになります。
すると自ずと作曲は上達します。
上達が目に見えるので、さらに作曲が楽しくなります。

一方で、冒頭で述べた通り、対話が難しいケースもあります。

・私とのレッスンがほぼ初対面に等しく、あまりお互いを知らないケース。
・人と話すのが極度に苦手な生徒さん。
・小学4年生以下くらいの子どもの生徒さん。(逆に言えば年齢的に小学5,6年生、中・高生、大人のクラシック作曲レッスンは基本可)

この場合は、和声などエクリチュールのレッスン同様、手に赤ペンを持ち、添削します。

私は、人の創作物に赤ペンを入れるなど、倫理的に、、、と思うタイプですが、やむなしです。

さて一方、「どのように(音によって)話しているか」に注視するとはいえ、「何を話しているか」、つまり内容について踏み込まないことも無い訳ではありません。

しかしこの場合は講師も生徒さんも受けるダメージが大きいです。
これこそ、音楽の本質的なところなので。

あともう一つ加えるなら、生徒さん本人も見当が付いてないだろう、想定すらしていないだろう、という点も対話の中で話します。

逆に生徒さんが薄々感じているだろうことは言いません。
言っても仕方ないんです。
言うとしても直接的には言わず、匂わせます。
わたしはいつもできるわけではありませんが、対話の高等テクニックです。

すると受け身だった生徒さんが、能動的になりやすいようです。
すると上達します。
上達が目に見えるから楽しくなるのです。

つまり、作曲が上達し、楽しくて仕方なくなるメカニズムは「対話・雑談」にあるのでは、と思うのです。
あくまで私の場合ですが、これぞ作曲レッスンの秘密なのでは。
企業秘密ですが。(宮川慎一郎)

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