たくさんの音楽を聴くことが上達の近道
今日のお話は、音楽を聴くことと上達についてです。
現代という時代には、音楽や音が溢れかえっています。テレビをつけても、ネットで動画を見ていても、音楽、音楽。そして、都市型の生活では、街の雑踏に、これまた、音、音、音。
そういった意味で、現代という時代は、音や音楽の希少価値が低い時代なのかもしれません。
さて、前置きはここまでです。
音楽の上達にとって欠かせないことの一つに、「様々な音楽を聴く」ということがあります。
特に初学者の皆さんは、「世間で良いとされている音楽」を聴くことが非常に大切です。そして、ジャンルを超えて、色々な音楽を聴くことも大切なことです。
世間で良いとされている音楽・演奏家については、これは一概には言えません。
演奏家たちは、それぞれ非常に多様な在り方でアイデンティティを見出し、その活動を展開しているからです。
ただ、キャリアやアイドル性・テレビ出演など、商業的付加価値を取り除いた部分に、「演奏家としての生命力が確固としてある」ということは、非常に重要なことではないかと思われます。
また、和声や作曲を学ぶ方には、楽譜を見ながら聴くことをお勧めしています。
「こういう音楽は、こういう風に書けば鳴ってくるんだ」ということが一目瞭然で分かるためです。
楽譜を見ながら演奏会場で生演奏を聴くことは、一部の例外を除いて出来ませんが、CDやYouTubeなどでぜひ試して頂きたいです。
そして、時には楽譜を手放し、五感を使って生の演奏を聴き、その場の臨場感を体験することは掛け替えのない経験になるはずです。
音や音楽が溢れかえっている現代型の都市生活。
だからこそ、静かな演奏会場で音楽に身を委ねることは、かけがえのない体験になるのではないでしょうか。(宮川慎一郎)