和声と対位法の違い
作曲のために、和声や対位法を習いたいと思っている方にとって、和声と対位法の違いは、なかなか区別がつかないものです。
専門的な言葉で書かれたホームページや書籍は多々ありますが、いまいちピンと来ないのではないでしょうか?
そこで、今回のテーマは、和声と対位法の違いを、なるべくやさしく検証してみたいと思います。では、まずは和声から。
和声学習の要点は2つ
- 和音の種類を多く学ぶ
- その際の各声部(パート)の連結(繋がり方)を学ぶ
前述の通り、和声では和音の種類をたくさん学ぶことになります。そのため、曲に色合いを出したい場合、様々な和音進行を学びたい場合なら、まず和声を学ぶのが良いかと思います。
そして何より、和声は現在聞かれる多くの曲の根本になっていますので、和声には一度は触れておいた方が良いでしょう。
また、和声の上級では和音外音といって、その和音中に含まれない音を、同じ和音の中で折り合いを付ける事になるので、響きの色合いがさらに増していきます。
対位法学習の要点は次の三つ
- ある旋律に対して、様々な旋律を重ねることを学ぶ
- 声部(パート)同士を独立させて動かすことを学ぶ
- 各小節の和音は基本的に和声の知識を応用する
3.でお分かり頂けたかと思いますが、対位法は和声を学んだことを前提に学習を進めていきます。
とはいえ、対位法で使われる和音の種類は、和声に比べて極端に少ないのが特徴です。(対位法は、和声に比べて成立年代が古いことがその所以です)
それ故、和声に出てくる借用和音や転調は基本的に用いません。
ちなみに、私は和声の学習からスタートしました。和声学習の後半には、対位法的課題もありますので、まずは和声からという王道を歩みました。
J.S.Bach様式のコラール技法
付け足しになりますが、東京芸術大学の学部入試では、J.S.Bach様式のコラール課題が出題されるようになりました。
コラール技法は、和声と対位法の両方の性質を持つため、両者をつなぐものとして課されています。
コラール旋律の実施では、和声と同じく4声体(バス、テノール、アルト、ソプラノ)を用いますが、各種規則は和声とはやや異なる部分もありますし、また対位法(厳格対位法)とも異なっています。