和声の禁則や例外(配置)は本当にダメなの?

今日は和声学習における専門的な話題です。
和声の初学者にとっては有益な記事になると思います。

和声をやっていると禁則というのに出会います。
簡単に言うと「こういう音の動きはダメ」というものです。

ところが和声の初学者は、「禁則」と「例外」を混同しがちです。これは教師の側にも責任があり、添削の際に混同しないよう、きちんと説明する必要があります。

そこで、まずこの記事では、禁則と例外をきちんと区別するところから始めましょう。

禁則と例外進行の例

禁則とは。
どの教科書でも、どの先生が添削しても絶対ダメというものです。教科書によって禁則のケースがわずかに違うこともありますが、完全に共通すると言って問題ないでしょう。

そのため、試験などでは禁則は厳しく減点されます。また、禁則が多いと、「この人は和声を根本的に理解してない」と思われてしまいます。
これは和声進行についても同様です。(たとえばⅤ→Ⅳのような和声進行は、あり得ますが、初学者の混乱をさけるため記載しない教科書もあります)

例外とは。
例外配置を筆頭とし、共通音を保留しない連結、配分転換(密集・開離配分を変える)、属7における第7音の内声2度上行解決、導音の3度下行解決など多岐にわたります。

さて、では禁則と例外は本当にダメなのでしょうか?

結論から言います。
禁則は何が何でもダメ。
例外は意図があればOK。

和声と聞くと、2分音符が並んだ、いわゆる「お団子和声」を想像するかもしれません。特に『和声ー理論と実習ー』(いわゆる島岡和声)の第1巻、2巻では例外はあまり用いられません。しかし、同テキストの第3巻の課題や、シャラン、フォーシェなどフランスのテキストでは当たり前のように例外が用いられます。
また2015年から東京藝術大学で用いられている『新しい和声』でも、例外を行わないと実施できない課題があります。

例外を用いる根拠は、モチーフ労作によるものが多いですが、声部の動き(特にソプラノの動き)を考慮した結果、例外を用いる場合もあります。

とはいえ、初学者が例外を乱用すると、支離滅裂になりやすいです。(←これ大事)
したがって初学者は導入的な教科書で習うような、標準配置・標準連結をまず習得することが大事です。

先ほど登場した、島岡和声では、第3巻を除き、本編では例外は認められないと書きましたが、巻末には「配置・連結の一般的可能性」として、きちんと例外が示されています。(一部の方々には、いわゆる芸大和声(島岡和声)についての批判はありますが、このテキストは昭和の錚々たる11名の作曲家・和声の大家が作り上げたすごい本です)

今日は、禁則と例外についてお話ししました。

禁則は論外ですが、例外はその良し悪しも含め非常に多岐に渡りますから、さまざまな良質な課題を実施し、レッスンで添削を受け、手技におさめておくとよいでしょう。

(22.3.10宮川慎一郎)

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