作曲(和声)講師・宮川慎一郎(東京芸術大学大学院作曲専攻卒業)

作曲や和声はいつからでも始められる?

まず、作曲や和声の勉強について、一般的なお話をしたいと思います。(音大等の受験に関するお話は次の欄をご覧ください)

突然ですが、作曲や和声の勉強は、いつから始めるのがベストでしょうか?

これは皆さん誤解されている方も多いのですが、実は、ピアノやヴァイオリンなどと違い、作曲は大人になってからでも学び始めることができます。

逆に和声法や対位法などは、少なくとも中学~高校生以上にならないと習得が難しいです。その理由は、ある程度の言語理解力が必要なことと、数的思考を必要とするからです。

私の知人で音大で教鞭を執っている方も、多くは中学や高校から、中には大学から作曲の勉強を始めた方もいます。

現代は、作曲家と演奏家が分業する時代です。作曲が出来て演奏が出来る音楽家は決して多くありませんし、その逆も然りです。つまり、楽器習得と作曲(和声)習得は、繋がっているようで、繋がっていない部分も多分にあるということです。

以上、諸々の事情を踏まえ、当教室の作曲(和声)レッスンでは、生徒さんの目標やご要望をよくお聞きし、最適なタイミング・状況(音符の読み書きやピアノ演奏が最低限できるか等)を見極めた上でスタートすることをお勧めしています。

とはいえ、作曲は創意あってこそのもの。何よりも、生徒さんの「やってみたい!」が一番大切です。

音楽高校・音楽大学入試の作曲(和声)試験について

音高・音大や芸大の作曲科受験には、試験をパスするための、ある種のノウハウがあります。そこで、それに特化した訓練を行う必要があります。

芸大を除く多くの音大では、和声課題(ソプラノ課題・バス課題)2〜3時間程度、モティーフ作曲3〜8時間程度が課されます(時間・難易度は大学によって異なりますし、音高ではより短時間です)。これらを解答(作曲)する間は、受験生は基本的に個室に缶詰状態になります。ピアノは使用不可です。

「曲を作ったり、和音課題を解くのにピアノを使ってはいけないの?」と不安に感じる生徒さんがいらっしゃいますが、これは和声やソルフェージュの勉強を、出来るだけ早い段階から、しっかり積み重ねれば大したことではありません。

また、一つの曲を時間内に、そこそこの形にまとめ上げるのも、訓練次第で出来るようになります。これはちょうど作文を書いて慣れるのに似ています。書けば書くほど体裁は整うようになってきます。

では、作曲科の入試では、何がポイントになってくるのでしょうか?そして試験官の先生方は、どういった所に着目しているのでしょうか?

これは一概には言えませんが、ポイントは大きく分けて4つあります。

まず、ある受験生が、「他の受験生と同じ時間内」で解答(作曲)したことを前提とします。(←この前提が意外と重要です。前もって作曲しておいたものを提出するような場合は、評価の仕方が少し変わってきます)

その上で、

  1. 他より趣向が凝らされているか(色々とよく考えて作られているか)
  2. 他より完成度が高いか(フォーマットが整っているか)
  3. 他よりクラシックの作曲技法について造詣が深いか(西洋音楽をしっかり理解しているか)
  4. 他より音楽的に強い表現力を持っているか(音楽の中身がちゃんとあるか)

これら4つです。(ただし、これらの内、どれに比重を置くかは、校風や各先生のお考えによって異なります)

これら4つも、出来るだけ早い段階から、しっかり勉強しておけば、全てが完璧とは言わずとも、一定の上達は見込めます。しかし、試験本番では「制限時間内に解答(作曲)しなければならない」という点で、最終的には「時間と体力(集中力)」の勝負になることは間違いありません。

そこで、家庭学習の段階から時間制限を設けて、練習問題を解く癖をつけておく必要があります。また、月に二回くらいは、6時間程度の課題にもチャレンジし、体力的に慣れておく必要もあります。

もう一つ、別の視点として、当教室では、生徒さんが志望校に入学した後のことを視野に入れて受験指導を行っています。

これは生徒さんも親御さんも見落としがちな点なのですが、せっかく入学試験に合格しても、ギリギリで合格したのでは、その先の学校生活で大変な苦労が待っています。

音楽大学(音楽高校)というところは、やはり非常に専門的な場所です。周りには、全国から非常に優秀な仲間が集まってきますし、彼らは、まさに音楽一筋で勝負してきた人たちです。また教員はそれ以上に高い志を持っています。

そのような中に置かれる生徒さんに対し、当教室では、入試をギリギリで合格するような事にはならないようにしています。一にも二にも、生徒さんが志望校に合格した後、余裕を持って学校生活を送れるようにするためです。

入試の半年前になって、もしギリギリなら、直前まで、とことん頑張らせます。
しかし、万一、直前になっても、ギリギリ合格しか出来そうになかったら、私は一年先の受験を勧めます。当教室では、そういった生徒さんの事後フォローも行っていきます。

基礎の重要性(ピアノ・ソルフェージュ、そして音楽理論などへ)

いずれにせよ、作曲も和声も音楽の基礎が大切です。そして、基礎学習をどれだけやったかが、その作曲家生命を決定付けます。

そのため、当教室では、ピアノ・ソルフェージュをベースに置き、その上で作曲をなさる方には、音楽理論・楽式論・管弦楽法・モティーフ展開法、楽曲分析などをプラスして行います。

当教室では、趣味〜受験・子供〜大人まで、作曲に関しても出来るだけ幅広いニーズにお応えできるようにレッスンを行なっています。(宮川慎一郎)

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