作曲レッスンで直接教えられないこと?

作曲のレッスンで、生徒さんに直接教えられないことが、実は、あります。
それは、「作曲の出発点」です。

仮に、「作曲の出発点」である、『曲のイメージやアイデア・コンセプト』を講師が直接教えたとします。
すると、それが出発点であるが故に、曲の根幹に講師が立ち入ってしまうことになります。つまり、生徒さんが音楽で伝えたい一番大切なことに、講師が是非を付けてしまう(あるいは批評してしまう)ことになってしまうのです。

以前、私は大学で、作曲法演習の授業を受け持っていました。
作曲初学者の学生(ピアノ専攻の学生など)を対象に、24小節程度のピアノ曲を制作するという授業でしたが、1小節目を作り始められない学生が多くいました。

私は、それが不思議で、「10小節目くらいで行き詰まるなら分かるのに」と思っていましたが、学生に詳しく話を聞いて見ると、どうやら、先に述べた「作曲の出発点」が見出せないから書き始められない、ということが分かりました。
そこで、何か解決策を講じなければ、と思いました。

しかし、「作曲の出発点」を直接教えることは、やはり避けたいと思いました。
そして、たとえ拙い作品であれ、それぞれの学生の個性が出ているものを聴きたいと思いました。

そこで私は、ベートーヴェンなどの楽曲分析を授業で取り上げることにしました。そして、分析を叩き台にして、「作曲の出発点」を探してもらおうと考えました。

幸い私が受け持ったクラスは、勘の良い学生が集まっていたので、このようなやり方で上手くいきましたが、場合によっては、もう少し直接的で踏み込んだアプローチが必要だったかも知れません。

これと反対に、作曲を自分からしたいという方は、もともと「作曲の出発点」を持っている方が多いです。したがって、作曲を専門に学ぶ方に、「作曲の出発点」についてのアプローチは必要ないことがほとんどです。

本来の作曲のレッスンは、「作曲の出発点」をいかに形にしたかを見ます。
とは言え、「作曲の出発点」は作品の正体そのものです。
私は、生徒さんの「作曲の出発点」には、直接的に触れないようにしていますが、しかし、それを一番大切に見つめるようにしています。(宮川慎一郎)

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