ピアノを本格的に学ぶことへのご理解

高橋歩さんの言に「何かを選ぶということは、何かを諦めるということ」というものがあります。

子供さんの習い事で、月曜はスイミングスクール、火曜はピアノ、水曜は英会話、木曜は学習塾というご家庭は少なくありません。幼い頃に、様々なものに触れさせたいという親心でもあります。

しかしそれは、子供の人生のきっかけ作りであって、一つを極めていくには他のものをある時点で諦める必要があると私たちも考えています。

確かに、ごく稀に、大人になっても、多種多様な才を発揮する方がいますが、ほとんどの人間はそのようには作られていません。

そのため、中学生くらいになって、何かを選ぶ時が来たら、それは何かを捨てることでもあるのです。

たとえば、「ピアノでチェルニーが弾けるようになったから、もう少し頑張ろう」といったケースや、「ショパンのエチュードに取り掛かり始めたから、もう少し続けよう」といったケースが見られます。こういったことが学校の勉学にとっては命取りになる場合もあります。

しかし、本人の熱意さえあれば、音楽に花を咲かせることもできると私たちは考えています。

ピアノを本格的に習うということは、音楽への強い決断と熱意。これに尽きます。そして、そうと決めたら、まずご家族のご理解の必要です。

音楽の道は、厳しい道です。特に東京で、一つの音楽大学に入って、音楽で生計を立てていけるのは、ほんの数パーセントもいません。そこで生きていけるか、というご家族の心配もごもっともです。

しかし、それより大切なのは、音楽が、その方の人生を一つ豊かなものにするものであり、それによってご本人が輝いていることだと私たちは考えています。