反論する生徒さんのお話

高校生で、私の作曲レッスンを受けている生徒さんがいます。(プライバシーの観点から人物設定を若干変えています)

彼女はピアノも上手で、とても素直で良い子ですが、たまに私のアドバイスに全面的に反論することがあります。

たとえば、こんな具合です。

私「この箇所は、もう少し音を動かして、推進力をもたせたらどうかな?」

生徒さん「いえ先生、ここではまだ動きたくないんです。この少し後で山場に向けて一気に駆け上がりたいんです」

私「ふん、そうか。それはそれで、ありかもね。しかし、この箇所のどっち付かずな感じは、どうにかならないかな。和声的な工夫をするとか」

生徒さん「(彼女は内心不愉快)・・・あえてどっち付かずじゃ、ダメですか?(笑)」

私「意図的にってこと?・・・気持ちは分かる。で、やりようによっては、車あるでしょ、あのギヤをニュートラルにして、エンジンだけを高速回転させているような、そういう風な特徴を持った部分にできるかもしれないね。で、ギヤさえ入れれば急発進みたいな。この箇所の考えをもう少し深めてみたらどうかな?」

生徒さん「はい、では考えてきます」

と、こんな感じです。で、次の週、彼女はだいたい何も考えて来ないのです。

でもそれで良い。そこでこそ良い。

みなさん、先生のアドバイスに反論なんて!?と思った方もいらっしゃると思います。でも、私はよく生徒さんに、反論しなさい、と言います。ここで自分の意見を持って反論しようとする生徒さんほど、よく伸びる場合が多いです。

そして、これが反論のための反論ではなく、ひとつのテーマを深めるためのディスカッションに発展するとさらに良いと思っています。

この高校生は、受験を考え始めているようです。

(宮川慎一郎)