音楽はどこからきて、どこへいくのか(楽器のお話)

現代フランスの知的巨人、ジャック・アタリによると、これまで世界を司ってきたものは3つあるといいます。

軍事、宗教、市場の3つです。

つまり、戦って勝ったものが秩序をもたらすか、信仰が秩序と安定をもたらすか、需要と供給が社会のバランスを保つかということでしょう。

アタリの説を踏まえると、世界はこれら3つが作用しあうことにより、地域や文化を隔て、特徴付けてきたといえます。

そして各地域の人々は、それぞれ固有の楽器を開発し、それが流入し合う形で変化・発展してきました。これが世界共通の楽器の歴史の流れです。

 

ところで、日本の正倉院には西暦823年に収蔵された新羅琴(しらぎごと)という十二絃のお琴があります。今から1000年以上前の楽器です。

また同じ正倉院の南倉には呉竹笙(くれたけしょう)と竽(う)という、現代雅楽で使われる笙と発音機序が同じ楽器が所蔵されています。見た目もほぼ同じです。これも当時の中国(唐)から渡ってきたもので、やはり1000年以上前のものです。

 

ピアノを習ってみようかとお考えの皆さん、ここで少し疑問に思われることはありませんか?

たとえばピアノという楽器。これは1000年前には原型すらありませんでした。ピアノの直接の祖先であるクラヴィコードという楽器が出てくるのは約600年前です。

しかしそれでもクラヴィコードと現代ピアノの発音機序はまったく異なり、共通点といえば弦が張ってあることと鍵盤があることくらいです。

 

ではハープという楽器はどうでしょうか?

これは原型は確かに古代ギリシアに存在していました。しかし、現代ハープが持つ発音機構は産業革命以降のもので、一見シンプルに見えるあの楽器の内部は、想像を絶するくらい複雑な構造になっています。(精緻な金属製部品がごっそり詰まってます)

 

このように日本と西洋では楽器の発展について異なった歴史を持っています。

これは基本的には海に囲まれて守られた「伝承の文化」と、いくつもの文化が地続きで交わり発展してきた「淘汰の文化」の違いだったろうと思います。

クラシック音楽というと何かとても伝統的で、格式が高く、歴史の長いものに感じるかもしれませんが、その形は一世紀単位で大きく姿を変え、淘汰に淘汰を重ねたものなのです。

したがって、現在、クラシック音楽と呼ばれているものも長い長い黄昏時を生きていて、今から百年もすればこれはまったく姿形を変えていると思われます。(コンピュータが中心的役割を果たす音楽になることが予想されます)

西洋の作曲家たちは、そしてその流れを汲む日本の現代音楽の作曲家は、淘汰の歴史に生き(生きざるを得ず)、ある部分では先人の知恵を応用しつつも、常に新しい音楽を作って来たのです。

(宮川慎一郎)

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