暗譜って必要?

まだ音楽大学の学生だったころの話です。

音大の定期試験は、コンサートと同じように当然暗譜で行われます。
その時の試験課題はバッハ。10分以上の曲の暗譜に私は大変苦労をし、ふとこんなことを考えました。

「なんで暗譜で弾かなきゃならないんだろう。他の楽器の人は、ステージで楽譜を広げている姿をよく見るのに!」

調べてみたところ、コンサートで暗譜で演奏することを始めたのは、なんとあのF・リストだそう。(詳しいところまでは、その時代を生きた人々にしかわかりませんが…)

作曲家である以前に優れたピアニストであった彼は、楽譜など見ずに堂々と人々の前で演奏していた、というわけなのです。そのときばかりは、少しだけ、リストのことが憎たらしく思えたものです。

 

ピアノは一人でオーケストラを演奏する、とよく言われます。

メロディー、ハーモニー、構成、たくさんの情報を整理しながら演奏をしています。それが故に、練習の段階で”正確に覚えてしまう”というところまで磨き上げなければ、ステージに立てないという意見もわかります。

私自身も学生時代は暗譜に不安を覚え、ミスを恐れ、そして委縮してしまうようなこともありました。しかし、正確な音を追い求めるあまり、ミスを恐れた演奏になってしまってはもったいないのです。

楽譜を見ていたって立派な演奏です。

ステージは間違い探しの場ではないよ、と生徒さんにも伝えていきたいものです。

(宮川真唯子)

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