ラヴェルの一番美味しいところは?

クリームブリュレの一番美味しいところは、上のカリカリをスプーンで割って、そのカリカリと下のとろ〜っとしたとこを一緒に頬張ることだと思いませんか?

ではラヴェルの一番美味しいところは一体どこでしょうか?

私は、「時を刻む」ところだと感じます。

ラヴェルの一番美味しいところは、時を一定のリズムによって刻む、それも1拍をおおむね2の倍数で刻むところだと思うのです。

これは彼のテクニシャン的なオーケストレーションにも、ジャズに傾倒した独自のハーモニーにも、感傷的な語り口にも代え難いものではないか、それくらいに思っています。

 

やや乱暴な言い方ですが、彼の音楽はいついかなる時でも定刻を刻んでいます。

もっとも若い頃の、亡き王女のためのパヴァーヌ、そのアルト。ボレロのスネアドラム。オンディーヌの異様に難しい冒頭の右手。ピアノコンチェルトの冒頭のピアノ。ソナチネのアルト。

あげればキリがありませんが、そのどれもが拍を細分化し(おおむね2の倍数で、つまり1拍が4分音符の音価であれば、8分音符か16分音符、あるいは32分音符によって細分化し)、ミクロに時を刻むものです。

ここには一秒の狂いもない時計を身につけた紳士が襟を正す時のような、ある種の神経質な礼儀正しさのようなものがあります。これは少しハイドンの気質に通じるような、そのような紳士さを感じます。

ラヴェルの魅力は、そのような紳士の魅力だと思うのです。

 

ドビュッシーとの決定的な違いはここにあったと思います。

おそらくドビュッシーから見て、ラヴェルという年下の人物はパリ生まれでもないし、形式にばかりこだわっているし、その上やたらと定刻好き、これは鼻持ちならない存在ではなかっただろうか、そのような想像が膨らみます。

逆にドビュッシーがエリック・サティをいつも気にかけていたのも分かります。サティほど定刻を刻めない、あるいは刻みたがらない人はいなかったからです。(ただし、サティは繰り返し狂ではありました)

ラヴェルとドビュッシーとサティ、当時のパリに行ってみたいものです。

(宮川慎一郎)

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