クラシック音楽の神聖さ

クラシック音楽は、時に神のように崇めたてられることがあります。神聖なもの、崇高なものとされ、それを生み出す作曲家が神童と呼ばれることもあります。

これは現代に生きる作曲家からすると、大変なプレッシャーでもあります。作曲家というのは天から舞い降りてきた音楽を楽譜にしている。こうイメージなさる方もいます。

しかし実際は、もう少し現実的なものです。

まず、作曲家は音楽の半分を物理現象だと捉えています。そもそも音には周波数といって、音の高さに応じた振動数があります。人の耳に聞こえる周波数は20〜20,000Hzほどで、おへその前のドは262.8Hzという周波数を持っています。(注)

また楽器の音色についても、同様に数学的手段で成分分析することができます。(これは説明すると長くなりますので割愛させていただきます)

つまり、どのような音も、数字に置き換えることができるということです。そして数字に置き換えられる以上、明るい和音や暗い和音というのはもちろん、ある人がある音楽のある部分を氷のように冷たい響きと感じた、という反応もある程度科学的に説明することができます。

さて、音楽の半分は物理現象と言いましたが、もう半分は心理学や人文学で説明がつくものが多いと考えられます。

例えば、ティンパニがいきなりfffでボンッと大きい音を出したとしましょう。聴いている人はびっくりして飛び上がったり、ビクッと動いたりします。これは有名な反射と言われる反応です。

では、ボンッ・ボンッと2〜3回続くと、どうでしょう?

これはヒトが進化の過程で獲得した、闘争か逃走か(fight-or-flight response)という心理反応が起きます。つまりある種の危険を本能的に察知し、アドレナリンのような化学物質が放出され、手に汗が出てくるのです。

さらにティンパニがボンッ・ボンッ・ボンッ・ボンッと4〜10回ほど一定周期で続くと、それが本当に危険なものか判断する時間が与えられます。ここで多くの人は周期的な音を安全だと判断し、無関心に聴くようになります。

では、オーボエが美しいメロディを奏でたらどうでしょうか?

美しさというのは普遍的なものではなく、学習されて身につく概念だと主張する学者達がいて、それはある程度説得力を持っています。またメロディが人の声(歌)に由来しているとすると、これもさほど神秘的なものではなさそうです。

こうして考えていくと、音楽というのはずいぶん夢がないように思えてきます。

しかし、そうでもありません。

私たち作曲家は、やはり最初の取っかかりは思いつきである場合が多いですし、それは風呂の中や厠の中で突然やってきます。

それに、氷のように冷たい響きや、ティンパニをどのような文脈に置き、オーボエのメロディをどう登場させるかは、最終的にはやはり感性です。(その思考と記譜に相当な労力と時間がかかるとはいえ・・・)

音楽の50%は科学、50%は人文、そして1%が天がもたらした感性。

合わせて101%。だから神聖なのです。

(宮川慎一郎)

(注)基準ピッチが442Hzの場合。

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